高和地区は、押部谷町の中でも人口・面積が大きく、『里づくり』に取り組むにあたり、住民全体の意見や考え方を反映させて1つにしていくことが非常に難しいです。
私たちの想いは、川に石を投げ入れると波紋が広がるように、『里づくり』も集落に意見を投げ入れると、その意思が伝わり広がって、その結果、皆が一丸となって取り組んでいけるようになることです。
「川」が集落全体であったら、里づくり協議会役員は「石」です。まずは、その「石」となる役員がこの里づくり計画策定の過程の中で、想いと課題を共有していくことが必要です。そして、川に「波紋」を広げるために、新しく皆で情報共有できる気軽な媒体・仕掛けをつくることで、里づくり活動が活発化するのではないかと考えます。
以上の理由から『里づくり計画』の策定には、「なるべく多くの方に関わっていただきたい」という思いがあります。
そのため、里づくり協議会設立時には役員を30名と、通常よりも多く設定しました。人数が多く世代も違いますし、里づくり協議会という組織にも皆慣れていません。そこで、会議を開催し、徐々に里づくり活動への理解を図りました。
『里づくり』に取り組むにあたって、最も重要なのは“意識づくり”です。そのための工夫として、まずは“組織づくり”を進めていきます。
里づくり協議会役員で、「農を考える会」「村を考える会」「美を考える会」「人を考える会」という4つのグループを組織し、「農」「村」「美」「人」4つの視点から『里づくり』に取り組んでいきます。
グループ名 | テーマ | 概要 | 内容 |
---|---|---|---|
農業 | 集落の農業の現状,課題から、今後のあり方を考える。 | 果樹団地、企業との連携,営農組織,農産物加工 | |
生活環境 | 利便性や安全性など、地域の生活体系を考える。 | 交通事情、利便施設,公共施設,防犯対策 | |
景観 | 美化活動をはじめ、里山・河川の管理を考える。 | 農村資源、農村景観,土地利用 | |
人材 | 人材の掘り起こしを行い、担い手について考える。 | 世代間交流、組織活動、交流事業、子供社会、広報活動 |
里づくり協議会が作るものは、計画書という冊子ではなく、計画とその取組み体制です。グループごとに協議を進め、里づくり全体として、互いの関係と位置を俯瞰していきます。
グループ毎に具体的なことを考えていけばいくほど、自分のグループの議論や活動に集中していくあまり、他のグループのことを忘れてしまったり、グループ間の繋がりが弱くなったり、無駄なことが発生したりする可能性があります。グループ間の繋がりを強くして、他のグループの活動を意識し、他のグループに協力を求めたりすることで、自分の活動に効果が出るかも知れません。
さらに、実際に行動に移す場合には各グループのリーダーから構成される執行部で、協議会全体の基本方針を決め、各グループ活動につなげていきます。それを「活動イメージ図」で表してみました。
そうすることで、他グループの活動も分かりますし、連携もしやすくなります。
里づくり活動フロー図
活動イメージ図
今回、里づくり計画策定までに出た意見が最終ではありません。そして、計画を作って活動は、終わりではありません。これからがスタートです。
里づくり計画策定にあたり、『課題を共有し、できることから始める』ということ念頭において協議してきました。協議を重ねるにつれ、様々な意見が出てきました。そこで、「あれもこれもというのではなく、小さい所から行っていこう」と、グループごとにある程度テーマを絞った形で取り組んでいくことにしました。背伸びしない、身の丈にあった、しかも具体的な取組み、ということを確認しながら『里づくり活動』を進めていきます。
里づくり計画策定の中に、出てきた意見の中で、『“チョイボラ”という認識で里づくり活動を考えていく』という話が出てきました。一人ひとりが、「何をすればいいのか」「自分だとこんなことができる」ということを考えていき、“チョイボラ精神”で積極的に取り組んでいけば、様々なことが実現できます。例えばゴミが落ちているから拾うとか、雑草が茂っているから刈るだとか、植樹した桜に水遣りをするだとか。
まずは、「皆が集まって何かをしよう」というのではなく、「誰でも一人でもできることを探しましょう」という個人の意識が大切です。実際に策定中にも、様々な活動が起きています。『課題』として、挙がっていたことでも、この計画が認定されるころには、解決している課題もあります。今後も、「里づくり」に対する集落内の意識作りを行っていきます。そうすることで、輪がどんどん広がっていくと信じています。
里づくり活動を続けていくにあたり、住民から出てきた活動のアイデアを「1.時間」「2.労力」「3.経費」「4.対価収益」に分けて優先順位を考えていきます。
こういった形で活動を考えてみて、その中で色分けしていき、やれる所から活動していきます。
先述の取り組み方法から高和集落の里づくりにおけるキャッチフレーズを、
とします。
里づくり計画の策定段階、また、策定後の具体的な活動においてもこの考え方を継続し、円滑で活発な協議会活動を図ります。